「私...課長と別れます」
「...え?」
翔さんが驚いた顔で私を見つめる。
「綾さんの妊娠を知って苦しむ彼をもう見たくないから...これ以上苦しむ課長を見たくないから...もう全部終わりにしようと思います」
「――――遥菜ちゃん、自分の幸せは考えないの?確かに大和が苦しんでいるのは事実だ。でも、それは遥菜ちゃんを愛してるからこそであって、綾とやり直す気持ちがアイツになかったら...君の選択は意味が無いんじゃないか?」
翔さんの言葉に、私は目を閉じた。
そして、ゆっくり目を開けて言った。
「課長は綾さんを捨てられません。翔さんも本当は分かってるでしょ...?」
自分の子を宿した綾さんを捨てるなんて、課長に出来ないって。
「...それは...」
言葉を詰まらせる翔さん。
「ね?だから...もういいんです」
「でも、遥菜ちゃんが妊娠していることを知ったらアイツだって...」
「言えないですよ...私も妊娠してるなんて...。さらに課長を困らせると分かってて言うことなんてできません。だから...これからも課長に言うつもりはありません」
「遥菜ちゃん...」
色々な感情が入り乱れて、涙が溢れそうになる。
哀しみ、苦しみ、痛み、そしてそれ以上に課長が愛しくて。
課長を想うだけで、こんなにも泣けてくる。
