数日後のお昼――――私は久香と近くのショッピングセンターにいた。
「一花のオムツや服を買いたいから付き合って~」
と、電話がかかってきたのは今朝のこと。
「ごめんね、急に誘って」
ランチをするために入ったお店で、スープを飲みながら久香が言った。
「ううん。誘ってくれてありがとう。一人でいると気分が沈みっぱなしだから...こうして誘ってくれて嬉しいよ」
サラダを一口食べて私が言った。
「寝てないんでしょ?青い顔してるもん」
「...色々考えちゃって眠れなくて...」
「そりゃそうだよね...体調は大丈夫なの?つわりは?」
「相変わらずだよ。毎日が吐き気との闘い...。だけど、ここに課長の赤ちゃんがいると思うと幸せを感じるから...それだけは辛いけれど耐えられるんだ」
そう言いながら、お腹に手を添える。
「海堂さんに言ってないんでしょ...?」
「うん。言えないよ...」
「......まさか、こんなことになるなんて...。私も翔ちゃんもびっくりして...何も言えなかった。あの日、遥菜が帰ってから海堂さんと綾さんもすぐに帰ったのよ。海堂さん、かなり動揺してたみたい」
「...そっか」
「海堂さんとは会ってるの?」
久香が心配そうに私を見た。
この間、課長に会ってから今日までの間に、彼は何度か会いに来てくれた。
綾さんや綾さんのお腹にいる赤ちゃんの話は一切しようとしなくて。
食事をする訳でもなく、キスさえしようとはせず、ただ紅茶を飲んで帰るだけ。
手や頬には触れるのに、それ以上を求めてこようとはしない課長。
もしかして修一さんに抱かれた私を抱きたくないの...?
なんてね。
「バカなこと言うんじゃないわよ!あの時のことを思い出させないように、海堂さんはあんたのことを考えてくれてるんでしょうが」
「.......」
「遥菜のことを愛してるからこそ、海堂さん苦しんでるんだよ」
「うん、そうだね...」
久香の言葉に頷きながら、窓から外の様子を眺めた。
本当は分かってる。
彼がどれほど悩み、苦しんでいるのか。
彼の表情から痛いほど感じる。
裏を返せば...それは私を愛してくれているからこそなんだと。
分かるから...余計に辛いの。
