青のキセキ

約束の時間を少し過ぎた時、彼はやって来た。



「遅れてごめん!電車一本乗り遅れた」


ハァハァと肩で息をしながら課長が言った。


きっと駅から走ってきてくれたんだ...そう思うだけで嬉しくなる。





とりあえず、飲み物を頼んだ私達。



「アルコールじゃなくていいのか?」



「あ、はい。体調が戻るまでお酒は止めておこうと思って...」


お酒を頼まなかったことを怪しまれないようにしなきゃ。










頼んだ飲み物や料理が運ばれて、テーブルの上が一気に賑かになった。



「お疲れ」


そう言って、ビールの入ったジョッキを私の方へ少し傾けた。それにつられるように、私もジュースの入ったコップを持って前へ出した。


お互いのコップがぶつかり、チン!と音を立てる。



私が一口ジュースを飲み、課長の方へ顔を上げると...ゴクゴクと喉を鳴らして一気にビールを飲み干す課長の姿。



そんな姿さえ素敵だなと思う私。






「みんな、残念がってたよ。元気になったら絶対に戻ってきてほしいって」


「そんな風に言ってもらえて嬉しいです」


「...俺も...戻ってきてほしいと思ってる」


「課長..」


私を見つめる課長の瞳に吸い込まれそうになる。






戻れるのであれば戻りたい。課長のすぐそばで仕事をしたい。


だけど...もう無理なんだ。