店に戻り綾のことを話すと、案の定、翔の機嫌が悪くなった。


美空も機嫌こそ悪くなったわけではないが、悲しそうな表情になった。


そんな美空に心が痛かった。


その場に不穏な空気が漂う。





綾が来るまでの間、美空の話を聞こうとしたのに...。

また今度にすると言って、席を立つ美空の腕を思わず掴んでしまった。





......。





久しぶりに会えたのに、ゆっくりと過ごすどころか話もできないままで美空を帰らせることになるなんて。


どうにか出来ないものか。


そんなことを考えていると...店のドアが突然開き、思いの外、綾がすぐにやって来てしまった。



ここに俺がいると、ある程度目星を付けていたと綾は言った。



帰ろうとした美空を引き留め、翔と久香さんにも話を聞いてほしいと言う綾に、正直イライラした。



美空との時間を邪魔されたせいもあるが、必死に平静を装い、口元を震わせながら無理して笑顔を作る美空を見ていたくなかったから...。



あまりのイライラに奥歯を噛み締めて目を閉じ、冷静になるよう自分に言い聞かせた。




その時、綾が机の上に置いた白黒の写真。



これって......。一気に心拍数が上がるのを感じた。



そして、『妊娠したの』と綾は言った。