「遥菜...大丈夫?」
トイレから出ていくと、心配そうに私を見る久香が目に入った。
そして、カウンターに並んで座る課長と綾さんの姿も。
「ごめんね!心配かけて。少し寝不足気味だったから...。今日は、もう帰って早く寝るね」
出来る限り明るく努めて言う私。
「課長、綾さん、すみません。お先に失礼しますね」
そう言って頭を下げた私に、ゆっくり休んでねと言ってくれた綾さん。
その横で、心配そうに私を見つめる課長と目が合った。
――――ズキン
と、胸が痛む。
慌てて目を逸らして久香と翔さんに挨拶をした私は、課長と綾さんにも挨拶をし、そして、改めてお祝いの言葉を伝えた。
「本当に...おめでとうございます」
お辞儀をするように頭を下げて。
顔を見られないように。
ポタリと落ちた、一粒の涙。
早く、この場から離れたい。
早く、早く。
早く外へ行かなきゃ。
でないと、自分自身が壊れてしまいそうだから。
溢れそうになる涙を堪えて、
「失礼します」
と、いい残し、急ぎ足で入口のドアの方へ向かう。
「大和、あなたパパになるのよ」
背後から聞こえる綾さんの声が、私を奈落の底に突き落とす。
