翌日の夜。
会社を出た俺の足は、自然と美空のマンションへ向かっていた。
美空の負った傷の深さは計り知れないが、連絡もないままで体調も気になった。
綾を抱いた後ろめたさもあって、俺の方からも連絡も出来なかったが、抑えられないほどに美空の顔が見たかった。
美空に会いたかった。
マンションの前に着いた俺は、意を決して美空に電話をかけた。
耳に当てた携帯から、呼び出しのコール音が鳴る。
出ない...。寝てるのか...?それとも...。
そんなことを考えていると、コール音が止んだ。
声を掛けると、『心配かけて...ごめんなさい』と謝る美空の声が聞こえた。
病院のベッドの上で眠っていた美空の姿を思い出し、元気そうな声を聞き、胸を撫で下ろす。
何より、電話に出てくれたことにホッとした。
マンションの前にいることを伝え、部屋に行ってもいいか尋ねると、電話の向こうで黙り込む美空。
何があったのか俺が知っていることを、美空は知らない。
なぁ、美空。
こんなことになって俺に嫌われるかも...と思ってるのかもしれないけれど、何があってもお前を愛してる。
こんなことぐらいでお前を嫌いになるほど、俺の気持ちは中途半端なもんじゃない。
それに...俺も綾を...。
そんなことを考えていると、電話から美空の声が聞こえた。
『会いたい』
その一言が俺の胸を打つ。
美空の返事を聞き、俺は急いで美空の部屋まで行った。
