「...もしもし、美空?」
「......心配かけて...ごめんなさい。仕事は終わったんですか?」
出来るだけ普通に話しかける。
「ああ。大丈夫か...?」
とても優しい声が私の胸を打つ。
「はい...まだ会社へは行けそうにないんですけど...。迷惑かけてすみません。でも、大丈夫ですから」
「今、お前のマンションの前にいるんだ。行ってもいいか?」
「えっ...?」
「お前に....会いたい」
まさか、課長がマンション前まで来ているなんて思いもしなかったから、ビックリした。
体調が悪いと会社を休んでいる私。
なのに、こんな顔を見たら課長は...。
口元はまだ切れたままだし、頬や額の傷もまだ治っていないのに。
『お前に...会いたい』
課長の言葉が胸に響く。
「私も...会いたいです」
