夕方から何度も綾から電話があったが、それどころじゃなかった俺は、電話に出ることなく、メールすらしなかった。
会社を出てからも真っ直ぐ帰る気になれず、たまに行くバーに寄った。
レモンウォッカをロックで注文し、一気に飲み干す。
喉が熱くて焼けそうな感覚。
氷がカラリと音を立てる、空になったグラス。
何度もお代わりを繰り返す。
酒には強い方だが、今日だけは酔いたい気分だった。
ウォッカの入ったグラスを傾けながら、頭に浮かぶのは病室のベッドで眠っている美空の痛々しい姿。
どうして、こんなことになったんだ...。
出張を終え、これからまた美空と二人の時間を持つことが出来ると思っていたのに。
俺のためを思い、佐伯のことを言えなかった美空。
昨日、確かに美空は何かを言おうとしていた。
あいつのことだ。すごく悩んだはずだ。
昨日の帰り際の寂しそうな後ろ姿。
綾を前に、何も言えなかったに違いない。
俺の...せいだ...。
