病室に入ると、ベッドで眠っている美空の姿が目に入った。
側に近寄ると。口の両端は切れ、所々擦り傷がで赤くなっていて、額と片方の頬にはガーゼが貼られていた。
内出血もしているようで。
あまりの痛々しさに、胸が痛くてたまらなかった。
ガーゼで覆われていない方の頬に、そっと手を添えると、掌に伝わる美空のぬくもり。
「何があった...?」
あの男の話を聞いて、大体のことは予想できた。
だが、翔の話を聞いて、俺は更にショックを受けた。
佐伯からは知らされなかったこと...。
それは。
美空が返してもらいにいったのが、『時計』だったこと。
俺があげた時計を取り返しに行った...?
そして、無理矢理あいつに乱暴されたっていうのか...。
悔しくて、悔しくて。
悔しくて、悔しくて。
美空がそんな目にあってるとも知らず、俺は綾と食事をしていた。
「穢れてしまったから、課長の元へは戻れないって」
久香さんの口から飛び出した言葉に、心臓が一瞬で止まるかと思った。
はっ...?
何だって?
そして、俺の気持ちを確認する久香さんの言葉。
当たり前だ。美空と別れるつもりなんてない。
俺以外の男に乱暴されて、俺と別れるつもりの美空。
許さない。
俺から離れるなんて、絶対許さない。
眠る彼女にキスをする。
美空...愛してる。
どうしようもなく。
何があっても、お前と別れるつもりなんてあるわけがない。
