涙を拭おうと顔に手をやると、頬に何かが触れた。
窓ガラスに映った自分の姿を確認すると、どうやら頬の傷をガーゼで覆われているようだった。
よく見れば。
服も病院のものに着替えさせられていて。
「遥菜ちゃん、気が付いてよかった。俺、先生を呼んでくるよ」
翔さんが病室を出ていく。
「久香...迷惑かけっぱなしでごめんね。一花ちゃんのこともあるのに...本当にごめんなさい」
「水臭いこと言わないの!遥菜は私の家族なんだから。それより、身体は大丈夫?痛い所とかない?」
「...うん」
「後で先生から説明があると思うけど...。一応...アイツの証拠を採取して洗浄してもらったから」
「...うん」
少しして、さっき会った産婦人科の先生と翔さんが一緒に病室に戻ってきた。
「美空さん、気分はどう?」
ロングの髪をアップにまとめた優しそうな先生が、ベッドの横に座って言った。
「大丈夫...です」
「よかった。あのね、美空さん。これから話すことをよく聞いてね。あ...」
久香と翔さんの方を振り返り、話すのを躊躇っている先生。
「二人は...私の家族のような存在だから...いてもらっても大丈夫です」
「そう...それなら、一緒に聞いてもらうわね」
少し間を開けて、先生はゆっくりと話を始めた。
「美空さん、あなた妊娠してるのね」
「...え?」
先生の言っている意味が分からない。
妊娠してる...?私が...?
赤ちゃんがお腹にいるの...?
