結局、時計は見つからないまま。
企画部の部屋へ戻ると、佐山さんが帰る所だった。
「お先~。部長もさっき帰ったからね」
手をヒラヒラと振って、軽やかな足取りで帰っていく佐山さん。
静かな部屋でポツンと一人、席につく。
デスクの上には、『佐伯修一さんからTELあり。折り返し連絡すること』と、可愛らしい字で書かれたメモが貼ってあった。
はぁ~。
嫌だな。用事なんて、私には無いのに。
仕事のことなら、佐山さんに言ってくれればいいのに。
はぁ~。
メモを視ながら、何度めかもわからない溜め息を吐く。
仕事に私情を挟むべきではないとわかってはいるものの、なかなか電話をかけることが出来ない。
でも、電話しないわけにはいかない。
大きく深呼吸を一つ。
意を決して、私は電話に手を伸ばした。
