――――それから1週間後、
とりあえず、小児科用の商品の試作品が出来上がった。
カフェレストランのスイーツに関しては、生物ということもあって、後日、修一さんを始め、シェフやレストランのスタッフに会社に来てもらって目の前で作ることになった。
出来上がった試作品を持って、佐伯家を訪問した佐山さんと私。
修一さんからの依頼で、小児科医である奥さんにも見せたいということで自宅に持っていくことになった。
建設中のクリニックから、車で10分位の閑静な住宅街に佐伯家はあった。
さすが医者一家ということもあって、かなり大きな家。
佐山さんがインターホンを押すと、自動的に開かれた門扉。
どうやら、カメラが内蔵されているようで、家の中から遠隔操作で開けてくれたらしい。
「すごい豪邸だね」
門から玄関まで歩きながら、佐山さんが周りを見渡して言う。
確かに、佐山さんの言う通り。
広い庭に、きちんと管理された植木の数々。
すごいお金持ちだということはバカでも分かる。
玄関に到着した頃を見計らって、お手伝いさんと思われる女性がドアを開けてくれた。
「ご苦労様です。皆様中でお待ちです」
その女性に促されるように、中に入った私達。
外観もすごかったけれど、中もすごい。
玄関だけで、私の部屋よりも広い...。
何なの、これ。
まるで、お城のよう。
「さあ、どうぞ。お入り下さい」
お手伝いさんに言われ、ハッとする。
きちんと並べられたスリッパを履き、佐山さんと二人、お手伝いさんの後に続く。
そして、リビングと思われる部屋へ入った。
