青のキセキ



待ち合わせの時間通りに修一さんはやって来た。


「お待たせしました」


私の向かい側に腰を下ろし、彼は整った顔で笑顔を浮かべて頭を下げた。







食事中、佐山さんに怪しまれないように注意しながら、私を見据える修一さん。


彼の前では、私は蛇に睨まれた蛙のようだ。



この間と同じで、せっかくの料理すら味気なく。


でも、目の前の彼は涼しい顔で料理を口に運んでいる。








「一応、企画案が出来上がりました」




食事が済み、ひと段落してから佐山さんが鞄から書類を出して、彼に手渡した。




書類を手にした彼は、一枚一枚目を通す。



「...いいですね。様々な患者さんの立場になって考えていただけているようで、私としても嬉しい限りです。これで試作品を作っていただけますか?」



「わかりました。早速試作品作りに入らせていただきますね」



佐山さんと彼との間で、話が進んでゆく。




「試作品が出来上がったら連絡ください」



彼が笑顔を私に向けて言った。





「...はい」



必死の思いで、言葉を発した。