会社へ戻ってしばらくの間、再会した彼に対する恐怖と不安で何も手につかなかった。
「美空ちゃん、とりあえず2週間後までにいくつか企画をお願いね。1ヶ月後に企画案を完成させて、佐伯さんに見せるから。それでOKが出たら試作品を作ることにしましょうか」
「あ、はい」
佐山さんに資料を渡され、目を通す。
依頼内容は、
まず、小児科に来た患者さんに渡す小さなお菓子。病院を怖がる子どもが多いので、ご褒美として何か渡したいとのこと。
ただ、あまり甘すぎると虫歯になるし、アレルギーの有無も考慮しなければならない。お菓子を食べさせたくない親もいるだろうから、野菜をつかったおやつなども考えることになった。
そして、カフェレストランで出すスイーツの企画。
料理に関しては、専任のシェフを雇うつもりだそう。でも、スイーツに関しては、専任のパティシエを雇うつもりはないようで、厨房でも簡単につくることのできるメニューを我が社に依頼したいとのことだった。
こちらも同じく、アレルギーの有無、そして妊娠中や糖尿病等でカロリー制限のある人等、様々なケースに対応する必要がある。
仕事に集中しないと...と思うものの、修一さんのことが頭から離れない。
課長に相談しようにも、彼は数日前から長期出張中。
会社の業績が右肩上がりらしく、関西や東北にも支社を設立することになったから。それに伴って、関西と東北を往復している課長。
一応、3ヶ月を目途にと聞いてはいるが、場合によっては延長も有り得るとのこと。
そんな大変な時に、彼のことで心配かけたくない。
どうすればいいの...。
