「でも、本当にお幸せですね。素敵なお義父さまで...。奥様もきっと素敵な方なんでしょうね。ねぇ、美空ちゃん」



佐山さんが羨ましそうに言う。



愛想笑いしか出来ない私。



「今後のことは、義父に一任されておりますので、これからは私に連絡をお願いします」


そう言って彼から渡された名刺には、以前私も務めていた病院名や住所、電話番号が書かれていて。そして、彼の名前と携帯番号が書かれていた。




「それでは、今日はこれで失礼します。また連絡させていただきます」



食事を終えた彼は、腰を上げた。







「またね、美空さん」



そう言って、私の方を見た彼。










口元は笑ってるのに、目が笑ってない。

何かよからぬことを考えていそうな目。



再び心拍数がスピードをあげる。小刻みに震える身体。


昔のことを思い出し、恐怖で何も言えなかった。









どうして、今になって...。








再び彼と会うことになるなんて、今まで想像すらしなかった私。








怖い...。





怖い......。