部長と少しの間、言葉を交わし、葬儀会場へ移動する。
美空の視線を背中に感じ、足取りが重い。
力なく歩く綾の肩を抱きながら、美空のさっきの表情を思い出す。
控室から出て、美空と目が合った瞬間、俺から目を逸らした美空。
その後は、俯き加減で唇を震わせていた。
震える綾の肩を抱きながら、美空を抱きしめてやりたいと思った。
すぐ横で泣いている綾のことよりも、必死で平静を装う美空のことが気になって仕方がない。
葬儀の間も、綾は両親を失った悲しみで涙を流していた。
綾が俺の肩に凭れかかるようにしてすすり泣く。
綾の肩に手を回し、慰める。
みんなの手前、そんな綾を放っておくわけにはいかなかったから。
身勝手なのは分かってる。今ほど自分を偽善者だと思ったこともない。
そんな俺の行動が美空を更に苦しめることになるなんて...。
参列者の数も多く、美空たちの席から俺達が見えるなんて思わなかった。
美空が一人苦しんでいるなんて、知らなかったんだ。
