会館の炊事場で、二人並んでコーヒーを淹れる。
コーヒー茶碗を4客お盆に並べる綾さん。
「4客...?一つ足りない...ですよね」
そう言った私に、
「あぁ。私の分はいらないの。仕事の話なのに、私がいるべきじゃないから。私は部外者でしょ..?」
微笑みながら言う綾さん。
「美空さん...だったわよね?大和の補佐をしてくださってるとか...。ごめんなさいね。こんなことになって。今日は来てくれてありがとう」
「...いえ。この度はご愁傷様です。お父様とお母様のこと、突然でびっくりしました。綾さん...お身体大丈夫ですか...?」
綾さんが、青白い顔で無理に微笑むのが痛々しくて。
「ありがとう、心配してくれて。大丈夫...とは言えないけれど、父と母が亡くなったことはどうしようもないから。それに、大和がいてくれるから」
自然な笑みをこぼす綾さんはとても美しかった。
課長を頼りにしてるんだということが、痛いほど伝わってくる。
「父と母が事故に遭ってから、大和がずっとそばにいてくれるの。今まで大和の仕事の都合で、なかなか一緒に居られなかったけれど、今回のことで私にとって大和がどれ程大切な人か、分かった気がするわ」
コーヒーをカップに注ぎながら綾さんの言葉を聞く。
耳を塞ぎたい。
『ずっとそばにいてくれるの』
そうなんだ...。綾さんのそばにいるんだ...。あれからずっと...。
