「もしもし」


『や...大和...おと...さ...と...かあ...さんが.....』


電話から聞こえてきたのは、綾が泣きながら喋る声。


どうしたんだ?何を泣いてるんだよ。


綾の泣き声なんて、あの時以来かもしれない。


浮気がバレて謝ってきたとき...。




泣いてたらわからない。落ち着いて話せって。


『お父...さんと...お母さんが......事故に...遭ったって...。』



え...?義父と義母が事故に遭った?


嘘だろ...?


『おね..が....すぐ..病..ん...来て』



電話の向こうで大きな音が鳴る。


綾が泣き崩れたようだった。直後、大きな声で喚く綾。



どうする...。このまま綾を放っておくわけにはいかない。


とりあえず、帰らざるをえない。


どこの病院にいるのかを確認し、綾に待ってるように伝え、電話を切った。






美空に帰らなければならなくなったことを伝えると、彼女は心配そうに何があったのかを尋ねてきた。


義父と義母が事故に遭ったらしいことを話すと、美空も驚いているようだった。








俺はどうすればいいんだ?義両親は無事なのか...?



もし、このまま義両親が死ぬなんてことがあったら...?




服を着ながら色々なことを考えすぎて、頭の中がゴチャゴチャになる。





美空を一人残して行かなければならないことが、こんなにも心苦しいなんて。





「また連絡する」


そう美空にいい残し、ホテルの部屋を出た。