私たちが泊まるホテルは、博多駅近くのホテル。
フロントでカギを受け取り、部屋へ移動。課長と部屋は隣同士。
「夕食はどこで食べる?ホテルのレストランでもいいし、外に出てもいいし」
「課長のおすすめのレストラン、どこかないんですか?」
「単身赴任時代によく行ってた店がある。そこでいいか?」
「はい!課長がどんな店に行ってたのか、見てみたいです」
午後5時。
課長と並んで街を歩く。
「課長のおすすめのお店って、どこなんですか?」
「ここから10分ぐらい歩いたところにある店なんだ。支社長に教えてもらった店で、酒も料理も結構美味いんだよ」
「すごく楽しみ!」
課長の真横を歩く私。会話しながら、時折課長の方を見ると、課長も私を見てくれる。
見つめあう瞳。
加速する鼓動。
「――――っ」
課長に見つめられると、胸がドキドキしすぎて恥ずかしくなる。
課長に心臓の音が聞こえるんじゃないかと思って。
顔が赤くなるのを感じて、思わず顔を背けた。
「どうかした?」
課長が私の顔を覗き込む。
「....恥ずかしくて」
「何が?」
「課長に見つめられると、心臓が口から飛び出そうになるんです」
「.....美空、お前...」
「何でそんなに可愛いんだよ...」
そう言って、課長が私の手を握る。
