部長と課長の話を聞いてから、一気に気分は落ち込みモードになった。


課長への気持ちを忘れる努力をしないといけないのに、逆に気持ちは大きくなるばかり。


周りのみんなは、課長の奥さんを見られるといって大はしゃぎしてる。


「課長の奥様、すごい美人らしいよ」

「私も聞いた~!受付嬢だったらしいね。スタイルがよくて、すごくキレイな人だって」


口々に綾さんの話をする社員達。



聞きたくない。聞きたくない。


耳を塞ぐわけにもいかないので、綾さんの話を聞かざるをえず、周りの噂話を聞いて、余計に凹みまくる私だった。



課長は...といえば、みんなの様子に戸惑ってるように見えるが、奥さんの話題に照れているようにも見受けられる。







その日から、私は出来るだけ課長と視線を合わそうとしなかった。


だって、目が合うと気持ちがばれそうだったから。

目が合うだけで、胸が高鳴る事が。



そして、諦められなくなりそうだったから。



もう、諦めなきゃ。往生際が悪い私。

これ以上、課長を困らせることはしたくない。