そのうちに津山さんや石川さんも出勤してきて、8時半過ぎには企画部全員が揃った。

外回りしてから来る人や、出勤してきてもすぐに得意先周りをする人がいたりで、全員が揃う事はかなり珍しい。


それを見越してか、部長がみんなに言った。


「近いうちに、親睦会をしようと思う。会社が休みの土曜日にバーベキューでもしようと思うんだが、どうかな」


フロア内がざわめく。


「賛成!やりたいです」

1番に手を挙げたのは石川さん。

佐山さんや春山さんも、うんうんと頷いている。



「海堂君、どうかな?」

部長が課長に意見を求めると、課長も賛成の意を伝えた。


反対意見が出るはずも無く。



「じゃあ、今週の土曜日はどうかな。急すぎるかい?」

部長が社員を見渡して聞く。



予定のある人が3人程いたけれど別の日に変更するとの事で、今週の土曜日に企画部の親睦会開催が決定した。



「美空ちゃん、楽しみだね~」

佐山さんがルンルンとした声で言う。


「はい!バーベキューなんてした事無いから、すごく楽しみです」

「え?美空ちゃん、バーベキューしたことないの?」

「そういう機会に恵まれなくて。土曜日が待ち遠しいです」


佐山さんと、そんな話をしてた時のこと。


部長が課長に話している声が聴こえてきた。




「海堂君、奥さんも誘ったらどうかな」


「は?妻をですか?」



「そうだ。君の奥さん、確か、ここの受付してた子だろう?君も本社に戻ってきたばかりで、奥さんも君の仕事振りを心配してると思うから、みんなと仲良くしている君を見たら、安心すると思うんだが。是非、奥さんも一緒に来なさい」



「....わかりました」







課長の奥さんが来る.....。綾さんが。

課長の愛している人が。