青のキセキ

家に着いたときは夜中の1時半だった。

「お帰りなさい」

綾が玄関まで迎えに出てくる。






「大和、まだ怒ってる?」

ベッドルームで服を着替えた俺は、綾の問いに答えることなく、脱いだばかりのスーツをクローゼットに収めた。


「ねぇ!大和ってば!!」

綾の声が大きくなる。


「私、大和の赤ちゃんが欲しいの。大和は欲しくないの?私達の赤ちゃん」

綾に聞かれ、欲しいと言えない俺。



子どもが嫌いなわけじゃない。寧ろ、子どもはずっと欲しいと思ってた。ただ、今までの俺は綾のプレッシャーにならないように言わなかっただけだ。



でも、今は。




脳裏をかすめる美空の顔。






「どうして何も言ってくれないの?」



「綾、ごめん。疲れてるんだ。明日、ゆっくり話そう。もう寝るよ」


そう言って、ベッドに横になり、目を閉じる。

浮かぶのは美空の笑顔と泣き顔。




俺は最低だ。