青のキセキ

「奥様が待ってるのに...」


綾の事を言われ、ハッとする。週末はマンションではなく家に帰ってる俺。ここしばらくは綾との喧嘩がつづいているせいで、マンションに帰ってることを美空は知らない。

タクシーを呼ぶために電話をかける美空の後姿をみながら、俺は思った。

(なぁ、美空。俺がお前を好きだって言ったら、お前はどう言うんだろうな)





言える筈がない。言う資格などないのだから。




タクシーが来るまでの10分間。


目を閉じて考える。


美空を好きな気持ちに嘘はつけない。
さっき、甘くて激しい口づけを交わした事で、俺の気持ちは余計に強くなっていた。

このままじゃ、美空のことをさらに好きになってしまう。そんな変な自信があった。


でも、俺は妻帯者だ。今のままでは、美空に気持ちを伝えられるわけがない。


どうするべきか。


綾と別れる?


しかし、いくら浮気されたからといっても、あの時綾を許したのは他でもない、俺だ。

あの浮気事件以外は、まぁ、普通の夫婦だと思う。子どもができないことでいらいらしている綾を、俺は見捨てるのか。


俺の子どもを欲しがっている綾を捨てて、美空に気持ちを伝える?


そんなこと、許されるわけがない。



どうしたらいい。



なぁ、美空。どうして俺たちは出会ってしまったんだろうな。