隣の課長を見ると、課長は相変わらずポーカーフェイスで冷酒の入った小さなグラスを口に運ぶ。


課長が冷酒を飲む姿がすごく様になっていたので、思わず見惚れてしまう。




私の視線に気付いたのか、課長が私のほうへ顔を向けて首を傾げる。


「どうかしたか?」


「いえ。何もありません」

慌てて前を向き、オレンジ色のカクテルが入ったグラスに手を添える。



「昼間あんなことがあったのに、今日は遅くまで付き合わせて悪かったな」



課長が私を見つめたまま、申し訳なさそうな表情をする。


「いえ。そんな。体調が悪い訳じゃないので、気にしないで下さい。私の方こそ、迷惑かけた上に、晩御飯までご馳走になって」


「迷惑だなんて思ってない。上司が部下の面倒をみるのは当たり前だろ」