――――【大和と翔】――――
遥菜と久香が席を外し、店内の客も減ってきた。
「何か言いたそうだな」
自分の方をじっと見つめる翔に向かって、大和が声をかける。
「大和。お前、どういうつもり?」
「――――今日、会社で美空の体調が悪くなったんだ。身体は震えてるし、息苦しそうにしてるあいつをみて、頭の中がパニックになった」
「遥菜ちゃんが?」
「あぁ。どうやら、他の男に腕を引っ張られただけらしいんだが....」
「そっか....」
「翔。お前、美空があんな風になった理由、知ってるんだろ?」
「....まぁな」
「俺、震えてるあいつを見て、抱きしめたいと思った」
「大和、お前...」
「美空が気になって仕方ない。ヤバイよな」
ジョッキのビールを飲み干す大和。
「今日、あいつの笑顔を見て、もっと笑った顔が見たいと思ったんだ」
「お前、完全に遥菜ちゃんに惚れてるね」
「.....かもな」
