青のキセキ

「そんなことより、食べましょ!せっかくのお料理が冷めちゃう」


そう言って、私は再び料理を食べ始めた。


「翔さん、今日も最高に美味しいです!久香、翔さんに内緒で作り方教えて~」


「教えちゃったら食べに来る意味無くなるでしょ。久香、教えちゃダメだからね」


さすが、翔さん。


ちゃんと久香に釘を刺す。



「教えるって言っても、私、野菜切るぐらいしかしてないからわかんない。遥菜も知ってるでしょ?私、料理出来ないの」


そうだった。一緒に住んでたときも料理は私担当だったっけ。

手先は器用なはずなのに、何故か料理オンチな久香。

でも、そのかわりに翔さんが美味しい料理を作ってくれるから別に困ってないみたい。




「――――幸せそう」


翔さんと久香がカウンターの中で仲良さそうにしているのをみて、無意識に呟く。






それに気付いた久香。

私の方をみて、トイレの方を指差す。





「ちょっと、すみません」


課長にひと言かけ、席を立つ。