「――――我慢しろよ」
耳元で囁かれた、その瞬間。
フワッと浮き上がるのを感じる。
気が付けば――――――
私は課長に抱えられていた。
「悪い、ドア開けてくれる?」
課長が側に居た春山さんに声をかける。
「は、はい!」
急いで春山さんが開けてくれたドアを通り、課長に抱えられたまま、社内の医務室へ連れて行かれた。
課長の温もり、匂いが私を支配する。
男の人にお姫様抱っこされて、普通なら半狂乱になってもおかしくない状況なのに、相手が課長だからか、やっぱり怖いなんて感情は全くなくて、自分の気持ちに戸惑う。
