Fake Love




「で」


「で?」


何が『で』?


首を傾げると


「楓ちゃんは…『Esperanza』嫌い?」


は、はぁ?


どこからそうなるの?


「い、いえ。『Esperanza』は好きです。よく聴きます」


力強く答え


「クッククク…あ、ありがとう」


また…笑われた。


絶対に桐生さんは…ゲラだ。


笑わないなんて大嘘だ。


私が膨れたのか


「ご、ごめん。ククク…」


まだ笑ってるし。


「『Esperanza』の曲は知っててもメンバーは?」


うっ!メンバーですか?


桐生さんを見ると意地悪そうに笑ってる。


「5人」


「ん。人数は正解。で」


「……」


「ほら、言って」


…やっぱり意地悪だ。


「ボーカルはカナさん」


「ん。でもカナ=桐生奏人って知らなかったんだよね」


「えっ?」


何で…


あっ!


「あの馬鹿兄貴。お喋りなんだから」


「クッククク…ハハハ…楓ちゃんにかかったら先輩も形無しだな」


あっ!


また声に出してた。