Fake Love




「はい、緒方さん」


「ありがとう」


緒方さんもコーヒーで一息


「あ、桐生さん座って下さい」


桐生さんが立っているのに私ったら。


慌てて立とうとすると


「いいから。楓ちゃん座ってなよ。ピンヒールで立ってるのはきついだろ」


「あ、ありがとうございます」


よく気がつくなぁ。


やっぱり女の人の扱い慣れてるんだろうな。


「ん?どうかした」


「へっ?」


「じっと俺の顔見てるから」


「へっ?あ、す、すみ」


桐生さんがニヤリとしかけたので


「何でもないです」


ふぅ~


もうちょっとで『すみません』って言うところだったわ。


「う~ん残念。せっかくしっぺ出来ると思ったのに」


「……」


「あら何なの?しっぺって」


緒方さんが私と桐生さんの顔を見比べて


「ん。楓ちゃんとの秘密」


えっ?


「あら、怪しい」


「あ、怪しくなんかないです。私が桐生さんに『すみません』ってばかり言ってるから言わないようにって。また言ったらしっぺするって」


「クッククク…ハハハ…」


「フフフ…」


…二人に大爆笑された。


もう!


私…帰りたい。