「楓ちゃん、何を謝ってんの?」
桐生さんは訳が分からないというか困った顔
「だ、だって馴れ馴れしく…」
「何だ、そんなことか。あのね、一応この撮影のコンセプトは俺とのデートなんだよ。そういう雰囲気に見えた方がいいんだから」
「……」
「俺としても楓ちゃんがやっと俺に馴染んでくれたと思って喜んでるんだから。ね」
「は、はい」
その綺麗な顔でニコッと笑いかけられたら嫌とか反論出来ないじゃない。
「だから楓ちゃん」
「はい?」
「今は俺を本当の恋人だと思って」
「……」
「ね?」
「……」
「山科さん。ヘアメイク直すから」
緒方さんが。
た、助かった。
「し、失礼します」
小走りに(ピンヒールだから小走りにもなってないけど)緒方さんの所へ。
椅子に座ってセットをされてる間に気持ちを落ち着ける。



