「楓ちゃん」 桐生さんが腕を掴む。 「離して下さい」 「まだ話しは終わってない」 「もういいです。これ以上嘘を」 「嘘はない!」 引き寄せられ 「確かに嘘をついて撮影の手助けをしてもらった。だけどあの撮影は嘘じゃな い。本当に必要で大事な仕事だ。ファンクラブの会報に載るのも本当のことだ。 ただ俺がその相手は楓ちゃんしか嫌だっ た。『恋人とのデート』って企画なんだ から、本当に惚れてる娘とやりたいって」 「……」 桐生さんの瞳に私が映っている。 戸惑うような顔をした私が。