「山科先輩に直談判に言ったよ」
「えっ?」
私が何も言わないからか再び話し始めた。
「楓ちゃんと付き合うからって」
「は、はぁ?つ、付き合うって」
私は桐生さんの存在すら知らなかったんだよ。
「クククク…先輩も驚いていた。何を言い出すんだって」
そりゃ…そうでしょう。
「『後からとやかく文句言われる前に先 に宣言しますから。先輩がどんなに邪魔 しても楓ちゃんと付き合います』ってね」
「……」
「もちろん大反対」
「そ、そうで…しょうね」
どこまでも私を子ども扱い、ど過保護なんだら、芸能人なんてありえるわけな い。
「でも俺はしつこいからね。一旦決めたらそう簡単に諦めない。てかさ、直接楓 ちゃんに断られたなら未だしも逢う前か ら兄貴に反対されて『あ、そうですか』 なんて引き下がれないし、そんな簡単な気持ちじゃないんでね」
「き、桐生さん」
私の首筋に顔を埋めている。
熱い。
触れられている処が熱く激しく脈打ってる。
「き、桐生さん、は、離して下さい」
桐生さんにバレちゃうよ。
震えているのが。
「いや!」
余計に力が。
「は、恥ずかしい」
「誰もいない。俺達だけ」
「それでも…」
恥ずかしいんです。



