淡夢【短編集】

なぜだ……?



なぜ笑っていられる?



キミは自分の体の状態が分からないほど、愚鈍な人ではない。



恐らく、キミの両親も同じ疫病にかかったのだろう?



自分の病気が、その疫病と同じ症状ということくらいわかってるのだろ?



自分が長くないことも……



わかってるのだろ?



いや……



なぜ笑うのかなど、問うまでもない……



キミは……



僕に不安になってほしくないのだろう……



しかし……



その優しさに気付いてしまっては……



僕は涙を流さずにはいられないじゃないか…


泣き崩れる僕を、サナはベットから出てきて、そっと抱き締めてくれた……



「お願いだから泣かないで……



綺麗な顔が台無しだよ?」



僕は泣き叫んだ。



こんなに醜い姿をさらすのは、生まれて初めてかもしれない。

しかし、その姿も、キミにだからこそ、見せられるのだろう。

キミの心は……

少しキレイにし過ぎたのかも……

直視できないほど眩しい……