コンコン


家のドアがノックされた。


「ファイ~? 居ないの~?」


ドアの向こうからサナの声が聞こえる。


「なんだ、やっぱ居んじゃん」


と思ったら、サナはもう僕の家に入って来ていて、笑顔で僕の寝ているベットの横にたたずんでいた。


「全く、サナはいつも勝手に入ってくるね……」


僕はそう言いながらベットから体を起こした。


「あはっ、そんな細かいこと気にしない気にしない♪ それにこの家は居心地いいもん。キレイだし」


「ふつうだよ……」


「そんなことないよ。あっ、ファイにとってはふつうなのかも! なんたってファイはこの国随一のキレイ好きって言われてるもんね! しかも顔も誰にも負けないくらい美形だし」


サナは誇らしげな顔をしている。


しかし、だれがそんなことを言い出したのか……


たしかに人は僕のことをこの国随一のキレイ好きという。


キレイな方が良いに決まっているから、キレイなものを好きになることはごく当然のことなのに……変なこと言うやつらだ。