わたしががんばっても。

「ちょ…稜ッ……あっ…」


わざと声を出す。


ドサッッ

扉の外で音がする。

見たらやっぱり、木下さん。

わたしは嫌味ったらしく木下さんをあざ笑う。



稜とキスしたって

あざ笑ったって

心は晴れない。




稜の気持ちがこっちに向くことなんてなかったから。


1ミリもわたしが稜の心に入ることなんてなかったから。







晴香side* 終