ダイアモンドリリー

化け物、、、?


誰が?

この子が?




私が、、、?


そういえば痛みこそあるものの普通なら気を失ってもおかしくないほどの致命傷なのにもかかわらず意識ははっきりしていて言葉も話せる。


どうなってる。


「貴方のようなお方がなぜ、このようなところにいるのでしょう?はて、運命か創造か私にはわかりかねますね」

「誰だか知らないけど、、、私はそのへんの施設で育ったただの人間よ!」


痛みをこらえ体のナイフを抜いていく。


「、、、痛っ」


少女は目を細め口の端を気味悪くあげる。

「施設で育った、、、そうですか、では赤ん坊の頃は乳を飲み、だんだんと言葉を覚え、そうして育っていったのですね」


子供のころ、、、。


子供のころに記憶なんて、気づいたら雪の空の下にいたのだ。

「おやぁ、、、?どうしました?まさか子供のころの記憶がなくて気づいたらその施設とやらにいた、なんてことはないですよね?」


なんなのだ此奴は。なぜすべてを見透かしたようなことを言うのかわからない。


疑心の目で見つめていると不意に目が合った。

その目の奥はゆっくりと揺れていてどこか悲しげでもあったが、それを上回る気味の悪さに寒気をおぼえた。

そして確かに自分の出生も定かではないことに絶望を覚えていたゆなは少しの希望を持ってしまった。


「あなたは、誰なの?」


「自分が誰なのかもわからない貴方に教える気はないです」


「そうか、、、じゃあもうどこかに行ってよ、私に用なんかないんでしょう」


「、、、そういう所は相変わらずですね、いいでしょうではまたどこかで」

にっこりと笑うと突然体から力が抜けその場にひざまつきそのままうつぶせに倒れてしまった。

散らばりかけていた周りの通行人がまた少しずつ集まってくる。


「え、、、ちょっと!大丈夫!?」

さすがにゆなも駆けつける。

「ん、、、て、え!?何ここ!どこ!?」


「、、、ホントに大丈夫?」


「てゆうかあんた誰、まさかあんたがここまで連れて来たの?返してよ私カレシ置いてきちゃったからこんなとこにいる時間ないんだけど」


先ほどとはまるで別人。いやむしろこっちのほうが見た目にしっくりくるというか。


うん。あっている。


「もしかして、なんにも覚えてない?」


「は?何言ってんの?全然意味わかんないし、てゆうかアンタ血だらけじゃん!大丈夫!?」


「そっか、、、うん、大丈夫だよ、たぶん。お家に帰してあげたいけど私もあなたがどこから来たか知らないんだ、交番でも行ってみる?一緒に行ってあげるよ」


多重人格か、はたまた何かが憑りついたか全くわからないが考えていてもどうせわからないし、今は頭が混乱していてか逆に落ち着いた判断ができる気がする。とにかくこの子を家に帰してあげることにした。


血だらけのままにっこりしたゆなに少女は困惑しながらも今は頼れる人間が周りにいなかったのでついていこうと思い立ち上がる。


手を差し伸べたゆなの手に少女はこたえる。


そして少女はゆなの手をとりそのまま






ぐいっとひっぱり倒す。





少女の上に倒れこんだゆな。

「え、、、何!?どうしたの?」






少女の顔を見てはまた顔をしかめる。

「そうだ、最後にいいことを教えてあげましょうか」

「またあなたっ、、、」

「反抗期もいいですが、、、」


ぐいっとゆなの頬を両手でつかみ顔を自分のほうへ近づける。

ガリッと爪を立て白く柔らかい頬に傷をつけると


「時間は止まってはくれません、すべて壊したと思った世界もまた、時がたてば元に戻る、しかしながら、、、残念なことに戻らないものもあることをお忘れなく」


そして続ける。

「貴方が大切にしてきたと思ってるものも一瞬の思い出になってしまうやもしれませんよ」


回りくどい言い回しにゆなは何を言っているのかわからないといった表情で自分の下にいる少女を見る。

「、、、何が言いたいの?」

「ふ、、、あはははは、、、!つまり!あなたのすがりつくその施設とやらは私が消して差し上げましたということです!」













え、、、?












目を見開き震える声で何とか声を絞り出す。


「何を言ってるの!?そんなわけ、、、」

「その目で確かめてみればいいじゃあないですか」








「、、、うそ、、、」

バッと少女から離れそのまま雪の道を走る。

施設のほうへ向かって。


ゆなが消えていくのを見届ける少女。



「貴方はとても美しい、、、しかし儚すぎるのですよ、こんなところにいたらいづれ消えてしまう」


少女は空を見上げ一息つくと


「さあ、この体をもとに帰さなければ、親というものが心配してしまうのでしょう」