『ねぇ、僕らもいれてっ!!』
『ゆうくん帰るよー』
『あっごめんね、帰らなきゃ』
僕らは誰とも遊べない
『孤児院の子と遊んじゃだめよ、悪い子が多いらしいから』
母親が少し小さめの声で子供に話す
『なんでぇ??』
悪気のない笑顔で子供が質問をする
その質問を避けるように母親が話をかえた
『今日のご飯はカレーにしよっか』
『やったぁ!!』
そんな親子の声が耳にはいる
5時を知らせるベルが鳴り響き、僕らがのっているブランコの キィーという音だけが響く
『夢亜、帰ろっか』
『そうだね』
僕が微笑むと 夢亜も同じ笑顔で微笑む
ピョンッとブランコから飛び降りて歩きだす。
少し後ろから走ってきた夢亜が僕の服の裾をキュッと強めに握った
夢亜が不安なときにやる癖
パパがいなくなってからよくやるようになった
寂しい ひとり 怖い 不安
いろんな気持ちが合わさってそれが行動にでてしまうことだってある
夢亜が握ったのが合図かのように
夢亜に左手を差し出すと 夢亜の表情がぱぁっと明るくなって
ぎゅっと手を繋いだ
『叶亜、夢亜 迎えきたよ』
門のところで誰かが呼んでいる
あれは海斗くん達かな??
いま僕らには迎えにきてくれるひとがいる
また2人だけになるかもって不安もあるけど
なぜかみんなといると安心できる
迷子にならないように
この手を離さずに進もう
これからもずっと一緒に…
これが夢亜とであって四年後の
僕たちが7さいのころの話です。
