どういうこと!?
想像もしていなかった言葉に目を見開く。
一時間後って早っ!!
塚それで追いかけてこなかったことに疑問っ!!
「追いかけなかったのはお前が追いかけてほしくねぇだろうなって思ったから追いかけなかったんだぞー。そりゃあ俺だって追いかけたかったさ。追いかけて監禁してやりたかったけど、そうする訳にはいかねぇだろーが。」
パクパク。
口を開け閉めしていたらあぐらをかいた自分の足の上に肘をつき、頬杖をしながら私を真っ直ぐ見てくる目の前の色男。
銀といい張り合いになりそうな色気だ、なんて思いながら頭を下げた。
「あの時は本当に、すいませんでした。」
「まぁ別にいいんだけどよ。稚春が無事ならそれでいい。もう黙って居なくなるなよ?」
「はい。」
「本当に、お前って奴は。この俺を焦らすなんて稚春ぐらいだぞ。」
「あはは…。」
眉毛を垂らして口を尖らせてそう呟く色男。
だけどこの人はただの色男ではない。
「あの後散々、真理子に言われたんだからな。《藤山》の組長が十代の女の子に焦らされるなんてちょっとあなた、情けないわ~。って。」
「なんか……、すいません。」
この人はここら一帯を取り締まる《藤山》という組の組長さんなのだ。

