数分後。
よく分からないまま車に乗せられ到着した所は私とは全く縁がない所で。
「まままま真理子ちゃんっ!!!」
「何ー?」
「こ、これは無理だよいくらなんでもっ!」
「無理って決めつけちゃうのは良くないのよー?」
「や、でも無理なものは無理で…。」
「はい、つべこべ言わないっ!」
「ぎゃー!!ちょ、まだ着てる途中なんですけどっ!」
マジで危ないっ!もう少し早く開けられてたらきっと全部見えてたっ!!
「きゃー!可愛いじゃないっ。」
可愛い洋服が並ぶ中、着せ替え人形と化していた。
腕組みをしながら真理子ちゃんが「ふふ。」微笑む。
そんな真理子ちゃんに「ちゃんと正常な目をお持ちですか?」と聞きたくなったのは仕方のないことだと思う。
だって。この私が
「ワンピースとか…、」
三回は死ねる。
目の前の全身鏡に目をやる。
それを見てなんの虐めなんだと泣きたくなった。
白いフリフリのレースワンピース。
焦げ茶色の編み上げヒールブーツ。
裏が花柄の茶色のAラインコート。
キラリと光る高級そうなブレスレットとネックレス。
これを私が纏っているなんて誰が思っただろうか。悪夢だ。
げんなりとする私の横で真理子ちゃんは「次はこれねっ!!」なぜだか生き生きとした表情で次々と私の手へと服や靴を置いていく。
その後に「何でも似合うのよね、春ちゃんはー。全部買っちゃおうかなー。」なんて普通の顔して言うから泡を吹きそうだった。
嘘だろおい。私がここで着せ替え人形になってから少なくとも二時間はたっている。
その間試着した服と言えば50着は優に越えていると思う。
コートとかワンピース以外にもネックレスとかベルトとかの装飾品と靴を合わせればそれはもう、想像を絶するほどの金額になるのだろう。
それを全部買うだとっ!?ひぃいいっ!

