じゃあ僕はこれで、と言ってアルファ兄さんは出勤した。
「怪しい…」
ナツキは腕組みをして、その後ろ姿を見送りながら呟いた。
「アル兄が?」
「ちげえよ、ジン兄だよっ!
あいついっつも俺のことばかにしてくるし、からかってくるし、嫌な奴だもん!」
「それだけじゃわからないよ」
ナツキの主張は否定しないけれど、でも彼は、わざわざ部屋に忍び込んであんなに大きなクマを盗むなんて、そんな無意味なことはしない筈である。
いつも一緒にいるレイン姉さんだって、きっとジン兄さんのこと以外は興味ないって風に見えるし。
「でも絶対怪しいぜ!
あいつらが来た次の日にブランケットがゆーかいされるなんて可笑しいって!」
「…ちょっと考え過ぎな気もするけど…」
ナツミは、あの二人を疑ってかかるのは検討外れだと思ったのだが、でもナツキが絶対怪しいと言い続ける。
強情な兄貴は、きっと気が済むまで騒ぎ続けるだろうと思って、とりあえずじゃあ、二人のところに行ってみることになった。


