天使の毛布




「仲直りしたみたいだねえ」



テントの外では、ナツミとアルファが耳を澄ませている。



「なんでアリス姉、手芸屋さんなんて見てたのかな。
裁縫道具なら切らしてないのに」



「きっと、『なっちゃん』にも作って上げるつもりだったんだよ」



アルファはポケットから、子どもの掌に収まるくらいの小さなクマのぬいぐるみを出して見せた。


背中に星のワッペンと、足の裏に『我が愛しい弟妹へ』の文字が刺繍されている。



「わあ…」



ナツミはそれを受け取って、やわらかな生地のぬいぐるみに愛おしそうに頬ずりした。




「さて、それじゃあアル兄はお仕事に行ってくるかな」



テント群の中でたたずむ隊長が、そろそろ痺れを切らせて帰ってしまうと思った。



ナツミが心配そうに彼を見上げる。



「これからお仕事なの?」



「うん、ちょっとジンくんとデートかな」



「…気をつけてね」



アルファはにっこり笑ってもう一人の天使の額にキスをした。



そして黒の外套を翻し、鬼隊長と合流したのであった。