「いいにおいがしてきたね」
アルファはすっくと立ち上がると、背伸びをして背骨を鳴らした。
「今日はカレーだって言ってたな。
アリスのカレーは美味しいから、早く行かないと無くなっちゃいそうだ」
「…………」
「じゃあ、先に行っているからね」
アルファはナツキの額にキスを残し、双子のテントを出て行った。
入れ替わりにだれか入ってくる。
問答無用で毛布に入ってきた体格は、常に不遜に気取るナツミの背中を感じさせた。
「アル兄、帰ってきたんだね」
「…………」
「ブランケット、あのままでいいの?」
「…………」
慰めに来たつもりだったのに。
今は彼を釣るいい台詞が思いつかず、困った末にナツミは結局毛布を出て、「先行ってるからね」と言い残して、テントを出て行った。
「なんだよ、みんなして……」


