「…………」
アルファはしばらく黙りこんだままだったが、やがてナツキの方を振り返ると、広い掌が幼子の頭を包んだ。
2、3回父親のように撫でつけると、神父のような暖かな声で言うのだ。
「仲直りしておいで」
「嫌だ、夕飯なんていらないかんな!」
「ナツキがそれならいいけれど、そうやってゆーちゃんやナツミまで困らせるつもりかい?」
「…………いいよ、別に」
「また嘘をついたね」
嘘をついたねと述べる口調には咎める様子はなく、むしろ慰めるような声色だった。
ゆっくりと移動する掌の温度がいやに暖かく。
胸の奥底でナツキのなにかを固く締めつけられているような気がした。
「アリス姉なんて嫌いさ…」
「………ナツキ、君はその嘘をついた口で、なっちゃんにキスをするのかい」
「……………」


