街の南側、丘を越えた先に広い平原がある。
元は農場を経営していた土地だったらしいが、数年前に潰れ、当時のものと思われる家畜小屋や屋敷は数年の風雨に晒され倒壊状態であった。
今では『プラネットサーカス団』が大小のテントを張り、すっかり住みついてしまっている。
土地を買い上げた主も別に構わないというので、歳を喰った団長はいずれここに再度農場をつくり、隠居するつもりである。
そのためにも息子には、早くサーカス団に戻ってきてほしかった。
ヒツギが双子を連れてサーカス団のテント群に入っていくと、屋外で団員たちが自由に芸を磨いていた。
サーカス団と名乗ってはいるが、彼らは楽団や美術師も引きつれており、オペラめいた演劇もやるとのことだ。
ヒツギがやって来たのを見受けて、数人で輪を囲んでいた娘たちの一人が近寄って来る。
栗色の髪と気の強そうな猫目は、サーカス団の踊り子、ユーインであった。


