「意外に、お前かっとなって魔が差したとかそんな理由なんじゃねえの」
「焼かれたいかヒツギ。
俺がそこまで理性的でない人間だったら今頃ここの席に座っていない」
ジンはかなり苛立っているらしく、語気がかなり荒かった。
「俺に八つ当たりする前に、素直にぬいぐるみを知らないかと聞いて回るんだな」
「そういえば副隊長さんはどこいったよ」
「事務に行った」
ナツキはズボンをぎゅっと握りしめ、またぽろぽろと涙をこぼし始めた。
それほど彼にとってブランケットは大切な友人であり家族であり、ずっと大事に持っていなければならない思い出の品なのだ。
帰ろうとナツミが兄の袖口を引っ張った。
たぶんやっぱり、ここには用はなかったみたいで。
「………おれの、ぶらんけっと……」
今にもダムは決壊しそう。
だが幼い子供を慰められるほど器用な人間は、この場において不在である。
「お菓子、食べますか」
レインがクッキーを並べた皿をナツキの前に差しだした。
だが、こんなときにお菓子なんて食わねえよ、とでも言いたげな上目遣いで見返され、皿はテーブルに戻される。


