「盗まれたあ?」 ヒツギが眉間に皺を寄せながら無神経なことを言う。 「子供のぬいぐるみなんて盗んでどうすんだ」 「朝起きたらいなかったんだ!」 「どっかに置き忘れたんじゃねえの?」 「そんなわけねえだろっ!」 ナツキは今にも泣き出しそうな声色で食いついた。 子供にとって愛を疑われることは、なによりも辛く口惜しいことなのだ。 ナツミは目に一杯涙をためるナツキの頭を撫でて「大丈夫だよ」と宥めた。 「…泣かせた」 「なっ、俺が悪いのかよ!」 「当たり前だ」 グレンの目が咎めている。