初恋と失恋を一度に味わってしまった私、有坂えりは落ちた気分のまま学校に向かっています。


「はぁー。」


なんか、憂鬱だなぁ。未だにクラスでは梓ちゃん以外に仲良しになれた子いないし、クラスには伊能君がいるし・・・


トボトボと歩いていた私。けどその足はすぐに止まった。何故なら・・・


「有坂さん、おーはよ!」

「い、伊能君・・・」


私の目の前には昨日、私が失恋した相手、伊能高志君が立っていたから。


「ど、して?」

「うん?少し話がしたくてさ~」

「話?」


ま、まさか昨日、伊能君が彼女と一緒にいる所を見てしまった事?


「あ、もしかして昨日の・・・」

「うん、昨日さ見たでしょ?」

や、やっぱり!!


「ごめんなさいっっ!」

「は・・・?」


伊能君に何か言われる前に私は謝る事にした。すると伊能君はすごく戸惑っていた。あれ?


「なんで、有坂さんが謝るの?」

「だ、だって・・・昨日、見た事怒ってるんじゃ・・・」


「は?なんでさ。別に怒る事なんてないじゃん。」


伊能君はどうやら私を怒りにきた訳ではないようだ。なら伊能君の話ってなんだろう?