逃げるようにしてリビングに入った神崎は、手に持つ黒豆を冷たい目で見下ろす。 「……」 その恐ろしく射抜くような視線に、普段の彼女の面影はなかった。 (今まで黒竜のあいつらに気に入られるために愛想良くしてきてたのに…) 血が滲むくらい、下唇を強く噛む。 そして先ほどの蓮の言葉を思い出した。 『そいつはまだ、仲間じゃねえ』 「…っ」 あのときの目は凍るように冷たく、少なくとも「仲間」に向けられるものなんかではない。