なのに、俺は何であの時、君の手を離してしまったんだろう。 君があの時にあいつの傍にいなかったら、こんなことにはならなかったのだろうか? ……俺は夜通しそんなことを考えて、 また寝返りをうつ。 俺は早く梓を自分のものにすれば良かった。 後悔しても遅いけれど、 ずっとそう思っていたのは確かだ。 それなのに、しなかったのは…… 「……っ」 ――梓を幸せに出来るか、 俺なんかが幸せに出来るのか、 正直怖かったんだ。