校庭の木々が揺れ、爽やかな音をたてる。


俺は目を閉じて、風を感じていた。


落ち着いてる??イヤ・・・・・その逆だった。


余裕があるふりして、心の中はかなりヤバかったから。


鼓動がどんどん早くなり、


緊張と不安に襲われそうだった。


外から流れてくる風がそんな俺を包み込む。


「・・・・・」


そして、目を閉じたままの俺の肩に誰かが触れた。


「ごめんね。待たせて・・・・・」


そっと目を開けた俺の視界には、


ほんのり顔を赤く染めた東条香織がいた。